2023年度から日本リベラルアーツ協会の活動の一環として、青山学院高等部、情報科の現場にて「情報Ⅰ」の授業における学習支援を行っています。以前から当協会に縁のあった現場の教員から「リベラルアーツ協会として本校の「情報Ⅰ」の授業をよりよく変革していただけないでしょうか?」と熱いお言葉を頂き、着任に至りました。

情報という科目は、情報モラルや制度といった文系的な側面と、情報科学やコンピューターサイエンスなどの理系的な側面があります。また、他の科目とのつながりも広く深いため、高校教育全体の中で「情報」という科目を捉える必要もございます。2023年度より、担当者が日本情報教育学会に参加する中で様々な課題や展望が見えてまいりました。
入試にも今後利用されることから、科目として過渡期に入っている中で、リベラルアーツ協会にできることを見出して参りました。今後は同校だけでなく、多くの高校の現場に情報の科目を起点とした文理融合教育や、国際バカロレアのTOKに代表されるような教科に囚われない「見方・考え方」の実践の場を提供できればと考えております。

カリキュラムの提案

「情報」が共通テストとして大きなウェイトを占めるようになって日も新しいですが、同校で3年生向けの発展的な授業を設置する計画があり、カリキュラムの提案を行いました。

発展資料の作成

限られた授業時間で、伝えられること、考えられることは限られています。そのため、授業内容に連動してより発展的な内容や考えるべき論点、他の科目とのつながりを資料にまとめております。今後、多くの現場での活用を模索しております。

資料の目次(一部)

SDGsを探求する

2024年、3学期より、情報の授業で学んだことを活かして、SDGsの探求学習を支援致しました。この探求活動実践は同校で以前より行われていたものでしたが、単なる調べ学習になったり、一部の生徒のみが取り組む状態にならないように工夫いたしました。

SDGsのような現代的で、幅広く、真実と嘘が飛び交う話題に対して、科学的に物事を見ていくあり方や、本質的な問いに向き合う能力の涵養。また、社会問題に対して即行動するだけではなく、時間をかけて批判的に見ながら、自身のオリジナリティを踏まえて方針を決定したり、他者との価値観の違いと対話・発見し、協力をしながら問題解決に進むリーダーシップなどを授業内外から問いかけました。

この実践において、たくさんの方のご意見をいただいたり、同校が外部ゲストを積極的に招待していたことから当協会としても、生徒の発表を聞いて、社会の目からの貴重なフィードバックをいただきました。この場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。

作成した発展資料

第18回 結局科学とは?
第19回 悪法もまた法なり!嫌なら政治参加せよ
第20回 あなたが自らの意志で独自に考えることは最大の社会貢献だと思う
第21回 「鳥の眼」と「虫の眼」グローバル/カルを見よ
第22回  高ければ高い壁の方が!

プログラミング

2024年度よりさらに、2年生向けの授業、「プログラミング演習」の授業に関わるようになりました。プログラミング学習自体も昔と大きく変化しており、昨今ではあまりコードを覚えたり、手書きで練習をしたり、実行環境整備に手間取られずに学習することができる環境になりました。
そこで、GoogleColaboratoryを用いたPythonの演習や、生成AIを用いたコーディングの体験などの教材を提供致しました。

今後について

大変貴重な機会をくださった青山学院高等部様に感謝すると共に、今後は同校だけでなく、多くの高校の現場へのご支援を検討しております。

また、高校教育における「情報1」の科目は大人の学び直しや、デジタルディバイドの解消に大いに役立つのではないかと思います。そこで、まずは既に執筆した発展資料をできるだけ公開できるように整備しながらも、単に読むだけではない学習のあり方としてチャットbotを用いることを検討しています。
今後にご期待ください。

お問い合わせやご相談も歓迎致します。
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