本稿は、2023年に実施したアート展示と問いのワークショップについて、当時の実験を振り返る過去の記録です。現在の募集や継続サービスの案内ではありません。

学びに関心を持ってもらうには、最初から難しい言葉で説明するとは限りません。まずは「かわいい」「面白そう」と足を止め、そこから小さな疑問が生まれることもあります。その仮説を確かめるために、猫とカクテルを組み合わせたアート作品「にゃくてる」を、問いと学びの入口にする取り組みを試みました。

好奇心を学びへつなぐ

アーティストのKuru氏が制作する「にゃくてる」は、猫のしなやかさとカクテルの造形を重ねたアート作品です。この作品を起点に、問いや学問に親しみを感じられる表現をつくれないかと考えました。

プロジェクトは渋谷の実験区画100BANCHのプログラムに採択されました。当時掲げた目的は、日常の中にある疑問に気づき、調べたり語り合ったりすることを楽しめる機会を増やすことでした。

BARでの展示と改善

2023年6月後半、下北沢のBAR「洋酒と珈琲 つむじ風」で作品を展示しました。当初は作品を見た人が「かわいい」と感じるところで体験が終わり、企画の背景や問いまで届きにくいという課題が見えました。

そこで、展示の趣旨、作者の紹介、作品のモチーフとなったカクテルの情報を加えました。また、来場者が自分の問いを書いて残せる仕掛けを設け、見るだけの展示から、考えて参加する展示へ近づけました。

カクテルの背景から問いをつくる

展示期間中には、一つの作品を取り上げ、モチーフとなったカクテルの歴史、作り方、カクテル言葉を調べたうえで、対話のための問いをつくるワークショップも実施しました。

ただ問いを提示するのではなく、作品のイメージや、その背景にある文化と物語を経由する。そうすることで、抽象的なテーマにも自分の感覚から入りやすくなるのではないかを検討しました。

この実験から得た視点

この取り組みは現在の協会事業そのものではありませんが、設計上の学びがありました。人目を引く表現だけでは学びまで自動的にはつながらず、背景情報、問い、記録する方法、他者と語る機会を組み合わせる必要があります。

アートを「分かりやすく説明するための飾り」にせず、感じたことを言葉にし、別の見方と出会う媒介として扱うこと。その視点は、後のアート鑑賞やカードを介した対話にもつながっています。

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本稿は、2023年7月19日に公開した日本リベラルアーツ協会公式noteの記事をもとに、展示とワークショップの経過が分かるよう整理し、過去の実験事例として再構成したものです。

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