【調査記録】人は「学ぶこと」をどう捉えているか——2021年リベラルアーツ意識調査のカバー画像

日本リベラルアーツ協会は2021年2月、学びやリベラルアーツに対する人々の認識を知り、今後の活動を考えるための意識調査を実施しました。

本稿は、その調査記録のうち「学ぶことは好きですか?」という質問に寄せられた自由回答を整理し、回答者が学びにどのような意味を見いだしていたのかを振り返るものです。

調査の目的

この調査では、次のような問いを通して、人々が持つ学びのイメージを把握することを目指しました。

  • 学ぶことをどのように捉えているか
  • どのような事柄に関心があるか
  • リベラルアーツという言葉を知っているか
  • リベラルアーツにどのような印象を持っているか

調査はGoogleフォームを用いて行い、2021年2月28日を回答期限として案内しました。日本リベラルアーツ協会の活動が本格化する以前に、どのような学びの場が求められているのかを探るために実施した、初期の探索的な調査です。

2021年リベラルアーツ意識調査の「学ぶことは好きですか?」という質問を示す画像
調査項目「学ぶことは好きですか?」

調査記録の扱いについて

保存されている公開記録には、調査対象の母集団、回答者属性、全設問の集計値など、統計的な一般化に必要な情報が十分には残っていません。そのため、本稿では回答割合を示したり、「人々は一般にこう考えている」と結論づけたりすることはしません。

公開されていた自由回答を質的に読み返し、そこに繰り返し現れる学びの動機や捉え方を整理します。これは社会全体を代表する調査結果ではなく、当時この調査に応じた人々の声から、学びについて考えるための記録です。

「学ぶことが好き」という回答に見られた理由

「大好き」「まあまあ好き」と回答した人々の自由記述には、いくつかの共通する方向性が見られました。

1. 知らなかった世界が見える

最も多く繰り返されていたのは、新しい知識を得ることで、見える世界や物事の捉え方が広がるという感覚です。

知らない世界、見えない世界に気づくことができる。

分かった瞬間と、知識がつながった瞬間が楽しい。

単に情報量が増えることだけでなく、すでに持っている知識や経験が新しい知識と結びつき、世界の見え方が変わることに喜びを感じる回答が目立ちました。

2. 自分を更新し、成長を実感する

学びを、自分自身の変化や成長と結びつける回答もありました。新しいことを知ることで、自分を更新できる、できることが増える、将来の可能性が広がるという捉え方です。

絶えず自分をリニューアルできる。

ここでは学びが、外から与えられる義務ではなく、自己理解や将来の選択肢を広げる行為として語られています。

3. 生活や仕事、人との関係に役立つ

学びの実用性を挙げる声もありました。仕事上の力になる、論理的思考や課題設定の力を養える、人との会話に役立つ、知らないことで不利益を受けたくない、といった理由です。

ただし、「役立つ」ことの意味は、すぐに成果へ結びつくことだけではありません。社会への理解を深めること、人や環境とともに生きること、対話へ参加できることも、学びの実用的な価値として捉えられていました。

4. 学ぶこと自体に楽しさがある

明確な目的や利益を挙げず、「楽しいから」「知ることが好きだから」と答える人も多くいました。知識欲が満たされること、未知のものへ出会うこと、世界の仕組みの精巧さに触れること自体が喜びになっています。

このような回答は、学びを目的達成の手段だけに限定せず、それ自体に価値のある経験として捉えています。

5. 好きかどうかは、内容や状況による

「まあまあ好き」「普通」とした回答には、学ぶ対象、方法、気分、時間、自分のペースなどによって感じ方が変わるという声がありました。

興味関心のあることなら学びたいけれど、何でも学びたいわけではない。

これは学びへの消極性というよりも、「何を、どのように学ぶか」を重視する態度と読むことができます。学びを好む人であっても、環境や方法が合わなければ負担を感じます。学ぶ機会をつくる側には、内容だけでなく、参加方法や余白を設計する視点が必要です。

この調査から考えたこと

自由回答を通して見えてきたのは、学びが一つの目的に収まらないということです。知識を得ること、世界を広げること、自分を更新すること、仕事や生活に生かすこと、人と対話すること、そして純粋に楽しむこと。それぞれが重なりながら、学びへ向かう動機を形づくっています。

一方で、学びは常に肯定的な経験になるわけではありません。関心の有無、学び方、時間、環境によって受け止め方は変わります。「学ぶことはよい」と一方的に勧めるだけでなく、誰が、どのような条件なら参加できるのかを考える必要があります。

日本リベラルアーツ協会は、この初期調査で寄せられた声を、専門や年齢に限定されず、対話や創作を通じて学べる場を考えるための出発点の一つとしてきました。

調査の限界と今後の課題

  • 回答者の募集方法や属性に偏りがある可能性があります。
  • 公開記録だけでは回答数や属性別の比較を再検証できません。
  • 自由回答の整理は、回答者本人の意図を完全に再現するものではありません。
  • 2021年時点の調査であり、現在の意識をそのまま示すものではありません。

今後あらためて調査を行う場合は、調査目的、対象、募集方法、回答数、設問、集計方法、匿名化の方法を明示し、結果を検証可能な形で残すことが必要です。過去の不足を明らかにすることも、調査を次の実践へつなげるための重要な作業です。

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本稿は、日本リベラルアーツ協会が2021年2月に実施した調査の募集記録と、公開した自由回答の記録をもとに、調査の目的、回答傾向、限界を公式Webサイト向けに再整理したものです。

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